6feetの極小話
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スナック菓子
昔々、あるところに高名なスナック菓子職人が住んでいたそうな。
ある日のこと、菓子職人の元に役人がやってきました。
「お前のスナックには麻薬を使用している嫌疑がかけられている、出頭したまえ」
なんでも職人の作ったスナック菓子を食べた人は、あまりの美味さのために食べ続けないと禁断症状が出るようになってしまっているらしいのです。

話を聞いた職人は驚きました。
「私は、今まで塩以外の調味料を使ったことはありませんし、素材も芋以外は使ったことがありません」
そう必死に訴えました。
しかし役人は信用しません。
「そこまで言うなら私の目の前でスナック菓子を作ってもらおうか」
「わかりました、塩と芋だけで作っているということを証明して見せましょう」
そう言って、職人はスナック菓子を作り始めました。
職人の手によって驚くほどの速さで芋はスライスされ、油の中を踊り、塩のシャワーを浴び、次々とメイクアップされていきます。
「完成しました、どうぞ」
瞬く間にテーブルの上には黄金色をしたスナック菓子が皿いっぱいに並びました。
役人はその手際のよさに気おされながらも、なおも疑いの姿勢は崩さず
「では、味も確かめさせてもらうとしようか」
そう言って、スナックを口に入れました。
するとどうでしょう、口に広がる香ばしい匂い、ざらりとした触り心地は下を吸いつけて離さず、絶妙な塩加減を味覚にこれでもかと伝えてきます。
一口で役人は職人のスナックの虜にされてしまったのでした。
役人は言いました
「ああ、これはすばらしいスナックだ。しかも確かに塩と芋しか使っていない。大変失礼なことをした、あなたは無実だ。・・・で、もう一皿おかわりはできんかね」

しかし、この報告を聞いた政府は逆に職人のスナックを危険視しました。
「塩と芋だけでこれだけの中毒患者を出すとは・・・恐ろしい」
「これは憂慮すべき事態でしょう、直ちに対処すべきです」
「しかしどうやって?彼が悪いことをしているわけでもあるまい」
「ええ。もちろん、彼を逮捕するわけにはいきません。逮捕するのではなく、スナック菓子を作らせないようにすればいいのです」

こうして、スナック職人に対して芋と塩の入手について厳しい規制がなされるようになりました。
塩については生活必需品であることもあり、ある程度の自由は認められましたがそれでもスナック菓子を作るにはとても足りる量ではありません。
芋は、もっと酷いことに一切手に入れることが許可されませんでした。
政府は芋の代わりに職人にとうもろこしを与えました。
職人は苦悩しました。
芋もなく、塩も満足にない状態ではスナック菓子は作れません。
そうして一月ほど悩んでいたある日、スイカに塩を振って食べている子供を見かけたとき職人はひらめきました。
「そうか、塩を隠し味に使えばいいのか!」
早速、職人はスナックを作り始めました。
とうもろこしをペースト状にしてふんわりと焼き上げ、
そこに甘いカラメル状のソースをつけ、
最後に甘さを引き立てる塩をまぶす。
出来上がったスナック菓子は今まで瞬く間に売れ、しかも以前のような中毒性もありませんでした。

職人はこのスナック菓子にとうもろこしが原料でカラメルソースをつけていることからカラメルコーンと呼びました。
もうおわかりですね、これがキャラメルコーンの原型であり、この職人こそが東ハトの創設者東鳩源之助なのです。
(東ハトHP 『キャラメルコーンのピーナツいらなくね?』より一部抜粋)

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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